BROADHURST’SのManbo

ロックとスイーツという組合せは世の中ではあまり見かけない。ロックは、古くは「セックス、ドラッグ、ロックンロール」という言葉があるように刹那的、退廃的なモノであったし、近年でもロックについてまわるモノは酒、アルコールである。食べ物の話をしても大体のバンドマンはラーメンやカレーにいきつく。特にベーシストはカレー好きが多いという統計結果が俺個人による独自手法での調査では判明している。このように、ロックとスイーツという組合せは珍しい。その結果、俺みたいな人間でも「パンケーキの人」「スイーツの人」などと若干ライブハウスで持て囃されるわけである。だが、この組合せを見事に成し遂げるパティスリーが大阪にはある。それが、今回のお店、『BROADHURST’S(ブロードハースト)』。美味しいケーキ屋さんは山のようにあり、紹介したいお店もいくらでもあるが、このブロードハーストほどオリジナリティに溢れ、ロックなケーキ屋さんは他にない。俺の超お気に入りのお店の1つである。


お店の場所は、JRや大阪市営地下鉄玉造駅付近。玉造筋と長堀通の交差点からは北西に位置する。少し住宅街の中で、分かりづらい場所かも知れないけれど、それなりに大きな看板がビルの2、3階部分あたりにあるのと、入り口もスタイリッシュな感じなので気づきやすいとは思う。

店内も紺色やレンガの壁、黒色の革ソファーなど、寒色系中心のデザインで、ケーキ屋さんというよりかはバーやレストランのような雰囲気の空間となっている。また、ソファーにはユニオンジャックのクッション、壁にはもはや現実ではあまり見ることはないのかもしれないギャラガー兄弟が揃って描かれたアートなどが飾ってある。このように、非常にUKな雰囲気が漂うのだがそれもそのはず、パティシエはイングランド出身なのである。そして、店内でかかり続けることからも、おそらくUKロックが好きなのであろうパティシエが作るケーキは独創的なデザインのモノが多い。

ブロードハーストで一番キャッチーで、この店を代表するケーキだと思うのが、最初の写真にも出てくる”Manbo”である。「スマイリーフェイス」がそのままケーキとなったManboのキュートなデザインは、この店に訪れるあらゆるお客さんの目を引く。見た目だけでなく、味の方もキャッチー。マンゴーのババロアの中にカカオのムースといった味であり、さっぱりさと濃厚な甘さを兼ね備えていて、とても食べやすく美味しい。他にも、ケーキは表面に”OASIS”と描かれ、”Supersonic”と名付けられた「いかにもロック」なケーキもある(昔は”Nirvana”っていう名前のケーキもあった)。これらのケーキは、他のケーキ屋さんのように「かわいい」だけではなく、攻めたデザインのモノも多い。こういった部分にも「ロック」な要素が見て取れる。また、生ケーキだけでなく、焼き菓子やスコーンなども揃っている。

基本的には持ち帰りのパティスリーだが、店内も10数席程度のソファーや椅子があり、コーヒーや紅茶もいただける。また、パンケーキなど店内でしか食べることもできないメニューもある。俺もいつもケーキ食べてしまうのでパンケーキレビューはまたの機会にしたいが、今のところ食べたケーキ全部美味しいので間違いなく美味しいだろう。

音楽は、芸術だと思うが、食べ物も芸術になり得るものだと思う。ここ最近は「インスタ映え」という見た目に特化しすぎる風潮もあるけど、凝ったデザインや美味しそうな外観は視覚に訴えるし、美味しい味も人に感動を与えるという意味で芸術の一種だと思う。そういう意味では、店の雰囲気、外観や内装、ケーキの見た目、味と様々な面で、ロックな要素を見事に取り入れたアーティスティックな要素を持つ店、それがブロードハーストだと思う。ロックが好きな人も、そうでもない人も、一度はこの雰囲気とケーキの味を味わいに行って欲しい。

soe

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