The Stone That Burnsというバンド

The Stone That Burns
Kanae Nakahama: vocals, synthesizers
Hiroki Abe: guitar, backing vocals
Jodie Campbell: drums, samples

Supporting member:
Tsuyoshi Oota: bass, backing vocals

「なぜFunny Funk Fishみたいなふざけたバンドをやっている人がこのバンドを企画に呼んでるの?」と思う人がいるかもしれない。上のMVの中でも行っているような、派手なフェイスペイントを施し、流暢な英語で歌う女性をフロントマンに擁するこのバンドは、そういう考えが出てきてもおかしくないぐらいクールな世界をステージで作り出す。よくある表現かもしれないが、彼らを見るたびに日本で活動しているバンドではなく、アメリカあたりからツアーでやってきたバンドじゃないのかと思う。それがThe Stone That Burns。彼らは自らのWebサイト上で「90′sオルタナティブロックのようなハイブリッドな音を鳴らす」と書いており、おそらく洋楽の90’sオルタナを指していると思うのだが、実はあまり海外オルタナは詳しくはない俺でも彼らのクールでオリジナリティ溢れる音楽はとても格好いいと思うし、とても好きである。それが今回彼らをイベントに呼ばせてもらった理由である。

The Stone That Burnsをはじめて知ったのは結構前であり、おそらく2013年ぐらいに対バンした時だと思う。この時も場所はFANJで、まだ彼らもこのバンドを組みたての時期だったと後から聞いた。メンバー構成も今と若干違っていた。この時は特に会話とかもなかった気がする。だが、その1年後ぐらいに再びFANJで彼らに遭遇した時には驚いた。ドラマーが変わっていたのである。そう、ジョディに。

↑彼がThe Stone That Burnsのリズムの土台、ジョディ。彼の迫力ある大きなグルーヴもバンドの大きな魅力の1つであり、更にはサンプリングパッド(叩くとあらかじめ登録した音が鳴る電子楽器)も使いこなす技巧的な一面も。
(photo by yuki kimura (https://www.flickr.com/photos/127228029@N04/sets/72157684007012474/))

「チャドだ。チャド・スミス(※Red Hot Chili Peppersのドラマー。)がいる…!!」と、カナダ出身(だったと思う)の彼を見た瞬間、俺は思った。彼はでかい。身体だけでなく、ドラムを叩いて出すグルーヴもでかい。ただでさえ洋楽感あるバンドにガチの外人きちゃったよ…と内心思った。そして、この頃からバンド全体がどんどん日本人離れしていったような気がする。ライブを見るたびに、ステージに立つだけで雰囲気を一変させるオーラみたいなものが増していった。ここ最近は最初に書いた通り、海外からのツアーバンドを見ているように錯覚させられる。それぐらい突き抜けて格好いい存在になっていった。

↑台北でもさすがの盛り上げを見せていたらしいThe Stone That Burns。
(photo by yuki kimura (https://www.flickr.com/photos/127228029@N04/sets/72157687071261281/))

彼らは10月には台北にもツアーに行っていた。俺には海外でライブということは想像もつかないが、こういうスケールの大きいことが平然と似合ってしまう雰囲気を彼らは持っていると思う。もはや、海外のフェスの大きいステージとかで演奏していても全く違和感ないようにも思える。ただ、普段の彼らはとてもいい人で、こんなパンケーキ食べ放題みたいなふざけた企画にも乗ってくれるような親しみやすい人たちである。あまり話したことはないけど、ジョディもすごいチャーミングらしい。

彼らはバンド編成としてはボーカル&シンセサイザー、ギター、ドラム、ベースという4人編成であり、割とよくある編成ともいえる。だが、彼らの音楽は、前述した通り近年の日本のロックバンドには珍しい「クール」なモノだと聴くたびに思う。しかしそれは決して平坦だとか、淡々としてるという意味ではない。テンションを抑えた状態から、フレーズを繰り返し、徐々に徐々にグルーヴを高め、テンションを上げていく感じは、テクノのようなDJがかけそうなクラブミュージックにも近い感覚を覚える。しかし、ドラムやベースの躍動感や、ディストーションのギターのサウンドは「ロックバンド」だからこそ出せる生々しい雰囲気が見事に出ていて、その絶妙なバランスがとても聴いていて心地よい。曲の盛り上がる部分では、きちんとバンド全体で一気に盛り上がる感じを出せてしまうのはバンドとしての実力がある証拠で、いつ聴いても凄いなと思う。安易な方法ではなく、丁寧に曲の構成やフレーズを組み立てて、見ている観客を引き込み、観客のテンションを最高潮に高める姿が俺は何よりも彼らが「クール」な理由だと思っている。俺は今のところ一番新しい音源”It’s Me”の中の2曲目”Superhero”が彼ららしさが十分にありつつも、イントロから掴みにかかってくる特徴的なシンセサイザー、一気に盛り上がるサビと言える部分と、キラーチューンな要素がありすぎてとても好きな曲だ(MVはなかったのでライブに行くかCDで聴いてください)。

現在、The Stone That Burnsは彼らの盟友である”Atomic Stooges”や”FIFTH-NEWHEAVY”というバンドとともに”REBELS”と銘打ったツアー中であり、11/11(土)にはそのツアーファイナルとなる公演が京都の二条nanoで開催される。どのバンドもThe Stone That Burnsに負けないバンドが揃っており、硬派なバンドが好きな方は間違いなく楽しめるイベントだと思う。それらのツアーを終え、表現力を増した彼らは、今回の”Sugar Addiction”というパンケーキ食べ放題とかいうふわっとしたイベントでも、出てくるだけで一瞬で場の雰囲気を変え、自分たちのクールな世界を作り出して見ている人を圧倒する姿が想像できる。彼らのステージングが更に大きいスケールになっているのを見れるのがとても楽しみです。

soe

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